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03_不動産に関する法令

アウトライン

1|借地借家法

1.借地借家法とは

[借地借家法]とは土地や建物の賃貸借契約に関する規定。

2.借地権

[借地権]とは、建物の所有を目的として他人から土地を借りる権利で、[普通]借地権と[定期]借地権がある。

(1) 普通借地権

契約期間の終了後、借主が継続を希望すれば、[建物]がある場合に限り、契約がそのまま更新される。貸主=地主は、正当な事由が無ければ拒否できない。

(2) 定期借地権

契約期間の終了後、更新なく返還される。[一般]定期借地権、[事業用]定期借地権、[建物譲渡特約付]借地権の3種類がある。

(3) それぞれの特徴

下記に、①契約存続期間、②更新有無、③土地の用途、④契約方法、⑤返還方法を示す。
①普通借地権
①[30年以上]
②更新あり。初回は[20年以上]で以降は[10年以上]
③制限なし
④制限なし
⑤原則[更地]返還
②一般定期借地権
①[50年以上]
②更新なし
③制限なし
④[特約]は書面(電磁的記録可)
⑤原則[更地]返還
③事業用定期借地権
①[10~50年未満]
②更新なし
③事業用建物に限る
④[公正証書]に限る
⑤原則[更地]返還
④建物譲渡特約付借地権
①[30年以上]
②更新なし
③制限なし
④制限なし
⑤[建物付]で返還

3.借家権

[借家権]は他人から建物を借りる権利のことで、[普通]借家権と[定期]借家権がある。

(1) 普通借家権

大家に正当な終了事由がない限り、契約がそのまま更新されるが、正当な事由で拒絶した際は終了する。契約期間は[1年]以上で、それ未満の場合は[期間の定めなき]契約の扱いとなる。契約方法は特に制限がない。

(2) 定期借家権

契約期間終了後、契約が更新されずに終了する。貸主は事前に、定期借家権である旨の説明を[書面](電磁的記録可)ですること。契約期間が[1年]以上の場合、終了の[1年]~[半年]前に通知が必要。

(3) 造作買取請求権

借主は貸主の許可を得て、畳や建具などの造作を取付でき、契約終了時に貸主に対してその造作の時価での[買取]を請求できる。ただし貸主は、買取しない旨の[特約]を設けることもできる。

2|区分所有法

1.区分所有法と区分所有権

建物の区分所有等に関する法律。集合住宅での生活に関する規定。マンションには購入者が専用で使える[専有]部分(各部屋)と、他の購入者と共同で使う[共用]部分(EV、エントランス、集会室など)がある。[区分所有権]は[専有]部分の所有権を言う。また、区分所有権と[敷地利用権](専有部分の土地を利用する権利)は原則として[分離]して処分することはできない。

2.規約

マンションに関するルール。決定や変更の際は[集会]で決議する。集会では区分所有者および[議決権]([専有]部分の持分割合)で決議する。一般的事項は区分所有者および議決権の[各過半数]、共用部分の重大な変更、規約の設定・変更・廃止などは[各3/4以上]、建替えは[各4/5以上]の賛成が必要。

3|都市計画法

1.都市計画法

計画的な街づくりを行うための法律。

2.都市計画区域

[都市計画]区域(計画的に街づくりを行う必要のある地域)は[市街化]区域(すでに市街地を形成しているかおおむね[10年]以内に優先的かつ計画的な市街化を予定している区域)と[市街化調整]区域(市街化を抑制すべき区域)を合せた[線引]区域と、それ以外の[非線引]区域に分かれる。市街化区域には[用途地域](建物の用途や種類に制限をかける地域で住居系、商業系、工業系がある)が定められる。

3.開発許可制度

一定の開発行為(建築物の建築、特定工作物の建設のための土地の区画形質の変更)には原則、[知事]の許可が必要。市街化調整区域では規模に寄らず許可が必要で、市街化区域では[1000㎡]以上で、非線引区域では[3000㎡]以上で必要となる。

4|建築基準法

1.建築基準法とは

建物を建てるときの基本的なルール

2.用途制限

[用途制限]では、都市計画法上の用途地域に応じて、建築可能なものとそうでないものを定めている。1敷地が2つの用途地域に跨る場合は、[面積の大きいほう]を採用する。大まかには、診療所、公衆浴場、保育所、神社、教会、派出所などは[全ての地域]で、住宅、図書館、老人ホームなどは[工業専用地域以外全て]で、幼稚園、小中高校などは[準工業地域までの全て]で、大学や病院は[第一種中高層住居専用地域]から[準工業地域]まで建築可能。

3.道路に関する制限

交通の安全や防火等のため、建物に接する道路にも制限を設けている。

(1) 建築基準法上の道路

大まかには、幅員[4]m以上か、それ未満で同法施行時[既設]かつ特定行政庁の指定を受けたもの([二項]道路)と定義されている。

(2) 接道義務とセットバック

建物の敷地は原則、[4]m以上の道路に[2]m以上接すること([接道]義務)。幅員[4]m未満の道路である[二項]道路の場合は原則、道路中心線から[2]mの線が道路境界とみなされる([セットバック])。

(3) 建蔽率

①建蔽率とは
敷地面積に対する建物の[建築]面積の割合で、用途地域ごとに最高限度がある。異種制限地域にまたがる敷地ではその[加重平均]を採用する。
②建蔽率の緩和
下記のいずれかに該当する場合は[10]%緩和され、両方を適用することも可能。
A. 防火・準防火地域内の緩和
耐火建築物または準耐火建築物等(ただし防火地域では指定建蔽率[80]%でない[耐火]建築物等に限る)。
B. 角地等の緩和
特定行政庁の指定する[角地]。
③建蔽率の制限がないもの
指定建蔽率[80]%かつ[防火]地域内かつ[耐火]建築物等であるか、[派出所]や[公衆便所]等であるものは、建蔽率100%でよい。
④防火地域と準防火地域
建物が密集していて火災の[類焼]が起きやすいエリアは、[防火]地域や[準防火]地域とされ、建物の構造に一定の制限が課される。たとえば防火地域で3階建以上を建てる場合、耐火構造が必須となる。これら以外の地域を[無指定]地域という。異種地域に跨る敷地では規制の[厳しい]ほうを採用する。

(4) 容積率

①容積率とは
敷地面積に対する[延べ]面積(各階面積の合計)の割合で、その最高限度は用途地域ごとに定められている。異種制限地域に跨る敷地ではその[加重平均]を採用する。
②前面道路の幅員による容積率の制限
前面道路が幅[12]m未満の場合は別途制限=幅員×[0.6]([住居]系では[0.4])があり、指定容積率と比較して[小さい]ほうを採用する。なお、複数の道路に面している場合は幅の[広い]ほうの制限を受ける。

(5) 高さ制限

①斜線制限
建物の高さを、道路境界などから上方斜めに引いた線の内側に収めなければならず、下記3種類がある。
A. 道路斜線制限
道路及び道路上空の空間を確保するためのもの。全ての用途地域で適用される。
B. 隣地斜線制限
高い建物のあいだの空間を確保するためのもので、[田園住居地域]までは免除される。
C. 北側斜線制限
住宅地の日当りを確保するためのもので、[第二種中高層住居専用地域]までが適用範囲。
②日影規制
北側の敷地の日当りを確保するためのもので、[商業]地域、[工業]地域、[工業専用]地域は免除。
③絶対高さの制限
都市計画で定める高さ([10]or[12]m)を超えてはならない([田園住居]地域までで適用)。

5|農地法

農地等を取引する場合、原則として[許可]が必要。

1.権利移動

農地を農地のまま売却する場合、[農業委員会]の許可が必要(農地法第3条)。

2.転用

農地を他用途にする場合は[知事]の許可が必要(農地法第4条)。

3.転用目的の権利移動

農地を他用途にするために売却等する場合は[知事]の許可が必要(農地法第5条)。

4.例外

上記[知事]の許可は、[市街化]区域内の一定の農地については[農業委員会]への事前の[届出]で代用可能。